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| 師加藤克巳へ |
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| ひらけば白き文字ある手拭いをかざす空にかけてゆく |
髙橋みずほ |
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大正四年生まれの先生の一生には、スペイン風邪の流行、戦争、自然災害など大きく揺れる時代がありました。私たちは戦争がない時を生きることができましたが、自然災害の大きさに怯え、見えないウイルスに晒されています。人の一生には、こうした時があることを思わされています。
藍の日本手拭いに白く先生の文字があります。「心豊かに／明るく／すこやかに」。表現するものの心の奥底にそっと温めておかなければならない言葉と感じています。
しっかりと手を洗い、先生の言葉で拭いています。洗濯をするたびに手拭いを広げると清らかな思いが香ります。どう行動するかが問われている時、心の豊かさとは何かを判断する大切さを感じています。先人が知恵を出して乗り越えてきたように、どう乗り越えるか試されているような気がします。 |
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| 本稿は同紙の特集「いま会いたい、あのひとへ贈る歌と手紙」のために書かれたものである。 |
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| ＊初出：「うた新聞」2020年9月号（第102号） |
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