夕闇をすぼめる店の灯火に金華糖の猫と海老

雷門のふもとの豆屋丸壜のなかの豆も落ち着く日暮れ

江戸末期より菓子はつくられ人が来て甘さの丸み手にのせてゆく

浅草も日暮れて人の往来も仲見世の灯火に追われ

糖の甘さのめぐる形かな金華糖猫小猫

波に酔い波間に酔いて屋形船岸のあかりも波の上

金華糖かそかに割れる糖の音　のとける舌

天ぷらの海老の背曲がりも波の上 屋形の船の

噛れば形崩れる糖菓子をいつまでも皿の上におき